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渋温泉余話

 渋温泉旅行はいつもの旅行と違った事をしてきて、面白い事があったので書きたいと思います。
渋温泉余話_d0007585_232414.jpg この旅行に行く事になる前から「やろう」と思っていた事がありました。それは「床屋に行く」と言う事でした。年に数回しか床屋に行かないし髭もあまり剃らないので、普段は知らない人が見たら「変なおじさん」状態です。



 師匠にも「床屋へ行け」と言われていたので、ゴールデンウィークの時間がある時に行こうと思っていたのですが、急遽旅行に出かける事になったので旅行先で床屋を見つけて散髪する事にしました。

 宿に着いた時間が早かったので「温泉街を散歩しよう」と言う事になって、風景や街並みを楽しみながら歩きました。すると、ある路地に床屋の看板が・・・。「あっ、床屋があった!」。しかし、あの床屋の象徴、白と赤と青の看板は回っているのですが、ドアのガラスがスモークで、なおかつ外観の雰囲気が湿っぽい(イメージです(^_^;)。 何だか雰囲気が良くなく不安もあったのですが、髪の毛も伸び過ぎてうざったいので「本当に行くの?」と言う心配そうな師匠を尻目に、意を決してスモークガラスのドアを押し開けたのです(あぁ、写真を撮り忘れて残念)。

 恐る恐るドアを開けて部屋の様子を見ると、左側にテレビが置いてあって何かの番組が流れていました。薄暗い部屋の右には散髪用のイスが2つ。そのひとつには荷物が置いてあり、普段から使っていそうもない。

客はいない・・・。誰もいない・・・。

「客がいないので奥の部屋にでもいるのか?」と思い声を掛けました。「こんにちは」。・・・返事がない。「こんにちは!」。・・・返事がない。・・・「こんにちは!!」。すると右の死角にあった長イスから一人の老人が、「ハ、ハイ、ハイ!」と驚いた様子で出て来ました(僕も少し驚いた)。「何でしょう?」と表情に驚きが残ったまま老人が尋ねてきました。その老人はこの店の主人らしく、水色の理容師らしい服装をしていました。「僕の髪の毛(イラスト1)を見て『何でしょう?』ではないだろう?」と思いつつ、「散髪をお願いしたいのですが?」と言うと、いきなり

「できないよ〜!」「え〜、できないよぉ!」

「できない」って、何ができないのかよくわからなかった。今まで生きてきて床屋でこんな言葉を聞いた事が無かったですから。「髪を短くしてほしいのですが・・・」と床屋でのやり取りではないなと思いつつ再度お願いした。すると、店主は「え〜、できないよぉ」と同じ言葉を繰り返しつつ、暗かった部屋の照明のスイッチを入れ、散髪台の横に置かれていた雑誌を取ってぺらぺらとページを捲り始めました。「どんなの? 最近のはできないよぉ」と言ったところでやっと店主の言っている事がわかりました。「流行りの髪形には切る事ができない」と言っているのだと。

「全体的に短くしてくれればいいんですよ」と僕。

「本当にできないよ」と自信無さ気の店主。

それでも何とかイスを用意してくれたので、イスに座りつつ

「失敗したら、坊主にしてくれても良いですから」と言ってみるが

「そんなぁ・・・」と苦笑い。

 主人は「後ろは刈り上げないの?」とか「前はどうするの?」とか「分け目は付けるの?」とか詳しく聞いてきて、イメージを固めようと必死の様子でした。それらに答えている内に車の免許証の写真が髪を切った直後の写真だった事を思い出したので、それを見せてみると「これならできる」と思ってくれたのでしょう。切った頭髪避けのカバー(正式名は知りません)を付け、カミソリを手に取り作業に取り掛かってくれました(フー)。

 散髪の途中、はさみで耳の裏辺りを数回噛まれて痛い思いもしましたが、その他は年季が入った腕で上手くまとめてくれました。無精髭はいままでの床屋の中で一番上手く剃ってくれたかもしれません。(^○^) 

 作業を始めてしばらくすると、店主も乗ってきたのかいろんな話をしてくれました。車で旅行に行く話、息子さん家族が東京にいると言う話、自宅近くに熊が出没すると言う話、相田みつおが好きで記念館に行ったり、知人にその色紙をもらったと言う話などなど。
渋温泉余話_d0007585_239229.jpg
 今回の散髪は人生最大の衝撃があった散髪でしたが、おかげで良い思い出になりました。また、あの床屋で散髪しようかな。(^_^;)

←仕上がり

by chankin1 | 2005-05-07 05:59 | Diary(日記)

ほとんど毎日、明治のミルクチョコレートを食べていますw


by ちゃんきん