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プロ野球はどうあるべきか?

 株の事はよく知らないですが、以前、ライブドアがニッポン放送の株を買い増しした時に、「日本の企業の株価は適性価格より低い」「いろんな会社で、このような事が起こっても不思議ではない」と言われているのを聞いています。つまり、乗っ取りが起きる前に、もっと株価を上げる必要があるのでしょうね。

 常々思っている事ですが、そもそも日本のプロ野球は、マスコミが経営権を握っていると言うのが、おかしな事にしている元凶だと思っています。特に、全国紙、全国放送を行っている新聞社や放送局が、球団を持っている事がいけません。なぜなら、そこにはマスコミの大原則である平等性を欠いてしまうからです。



 民間放送や新聞は、何だかんだ言っても視聴率や購読数が一番です。見てもらえなければ、広告収入が入らない。どんな素晴らしい論説を発表しても、読む人がいなければただの紙くずと化すのです。したがって、広告主には頭が上がらない、例え考えが違っても大衆が好む記事を書かなければ、読んでもらえない。この営利、拡販の追求に奔走したばかりに、この国のマスコミはその使命を忘れ、おかしくなってきました。

 野球で言えば、日本国民は昔から読売の手による、ジャイアンツの放送を見せられてきました。放送は日本テレビ独占で、解説もほとんどが読売出身者。したがってジャイアンツの話題や情報が意識しなくても多くなります。また、悪く言う事はほとんどありません。当たり前ですね。自社の子会社の悪口など言ったら首が飛びます。新聞も自然とジャイアンツの話題が多く載っている読売を買うようになります。この戦術は功を奏し、読売新聞は購読者を増やし、日本テレビも高視聴率を獲得できました。

 他のメディア企業は自社の存続に関わるので、これを放っておく事は出来ません。ならばとジャイアンツ以外の球団を所有したり株主になったりして、事業提携などで放映権を取り、こぞってジャイアンツ戦を放送したのです。その頃にはジャイアンツの人気と実力は他球団に比べて大きな差をつけていました。子どもに人気の野球漫画もその代表格の「巨人の星」に見られるように、ほとんどがジャイアンツの「星」を目指したものばかりでした。放映権を取得したマスコミ各社ですが、読売のライバル企業で「読売憎し」と言えども、ジャイアンツを叩く事は出来ませんし、ジャイアンツ戦を流さざるを得ませんでした。読売がそのような事態を意図したかしないかは別として、結果的に読売と他社の強力な援護を受ける事になったジャイアンツは、客とファンを拡大しつつ、プロ野球の盟主の座を不動のものにし、マスコミはジャイアンツにおんぶに抱っこの状態で今日まで来たのです。

 日本が好景気でどこの企業にも勢いがあった時であれば、これでも良かったでしょう。しかし、バブルが弾け、高度成長が終ってしまった後は、日本の多くの企業がその業績を落とさざるを得ませんでした。プロ野球人気もその頃からから徐々に陰りを見せ始めました。ところが、しばらくして日本の不況も底を尽き、景気が一応の落ち着きを見せた頃から、社会的欲求が物量から情報量へと変化しました。日常では野球以外の楽しみが増え、テレビは多チャンネル化、子どもが減り、人々の生活パターンも変化しました。プロ野球団の無い地方には、地域に根ざしたサッカーチームが出来ました。また、ジャイアンツ戦以外の試合も見られるようになってきました。そうして人々は、いつでも見られる映画を楽しみ、インターネットで時間を潰し、日曜日は子どものためにテーマパークに出かけるようになったのです。その大衆の変化を見なかったのか抗おうとしたのか、ジャイアンツ頼み一辺倒だったプロ野球は客のニーズに応えるものを提供する事が出来ず、時代の波に乗り損ねてしまったのです。

 「時代の波に乗り損ねたプロ野球」ですが、まだまだ日本の中で現在も優秀なコンテンツではあるのです。なぜなら、人々が求める刺激がそこには多く存在するからです。簡単に言えば、他のコンテンツである演劇や映画、テーマパークなど一部のコアなファンは別として、大概の人は同じものを見せられていてはその内飽きて離れて行くでしょう。ですから、それを維持するには並大抵の事ではありません。一方、プロ野球は同じものを見せているのですが、毎試合違うものを観客に目に見える形で与えています。それはチーム構成が変わることであったり(トレードや新人、退団など)、試合内容であったり、自分を投影できたり、様々なハプニング、そして観客の心動(心が動く事。造語です)の場面が違ったりするところです。つまり、他のコンテンツでは重要であるストーリーは考えなくても良いのです。(ここで言うストーリーとは流れの事です。采配等の事ではありません)

 では、なぜその優秀なコンテンツである日本のプロ野球がダメになったのか? と言う事になります。それには様々な事が考えられますが、大きな理由として、これ程大きく文化と言っても良いくらいになったプロ野球を、野球機構(実質一部のオーナー企業)が意のままに動かすため、いつまでも自分たちの手から離そうとしなかった事があると思います。大衆の文化となった野球を、才覚の無いオーナー企業が「夢を与えてやっているのだ」と言う論理で押し付けを行い、それがファンに伝わってしまったのです。この「押し付け」はここ何年かのジャイアンツがはっきりとした形で見せてくれています。

 プロ野球は戦力の均等化を挙げ、ドラフト制度を取り入れました。それは一応の成功を収め、連覇ができるような強大な戦力を持ったチームが無くなって、毎年のように優勝チームが変わるようになりました。しかし、そのことで球界の盟主ジャイアンツは「割を食った」また、「ジャイアンツが強くなくてはいけない」と考えたのでしょう。ドラフトにその思想に反する逆指名制を導入し、また、フリーエージェント制を利用して優秀な選手を金で集めることにしたのです。「ジャイアンツは強くなければならない」と言う妄想に取りつかれ、手当たり次第に他球団から主力を引っ張りました。その事に因ってポジションが重なり、優秀な打者も力を発揮できず、伸び盛りの自前の選手をも潰す事となりました。皮肉な事に、この「4番バッターを集めれば勝てる」と言う幻想は、野球の奥深さをファンに知らしめる事になったのです。

 このジャイアンツの幻想の押し付けは、観客の野球の見方を狭いものにし、その面白さを減少させてしまったと言っても良いでしょう。では、どうすれば良いか。それは様々なところで言われている「野球は文化」と言う言葉の意味を深く考え行動すれば、自ずと今後のプロ野球の進む道が見えてくるのではないでしょうか。

 昨年はライブドアと楽天が参入に名乗りを上げ、楽天がこの参入競争に勝利し、古くさい体質の日本プロ野球は止むに止まれず小さな穴を開ける事となりました。そして、今年はライブドアのニッポン放送株の買い占めに始まり、今回の村上ファンドが阪神電鉄の株を買い増しと動き出しているのです。昨日にはこのエントリーを書き進める中、楽天がTBSの筆頭株主になったと発表されました。これは、全国に影響を与える事のできる、一部のメディア企業の意のままに操られていたプロ野球が、変わろうとしている事を現していると思うです。(大きさから言えばメディアが変革されようとしていると言った方が良いのですが、プロ野球の話なのでこのような言い回しにしました)

 今回の村上ファンドの「タイガースの上場」の話は、オーナー企業からのチームの独立を現しています。つまり、不透明だった球団経営をファンの目に届くものにし、ファンにもっと球団を愛する事ができる、また、将来のタイガースをファンが考えられるものにしようと言う事だと捉えています。メディアから流れるファンの言葉の中には、「村上タイガースはゴメンだ」と言う言葉も見受けられますが、逆にそう答えるファンがオーナーになったとして、自分の名前を付けようとするでしょうか? そのほとんどはタイガースの利益にならないと考え、現在の名称のまま球団を存続させると思います。ですから、そんな心配は要らないでしょう。僕が思うには、阪神タイガースは現状のままでも構わないし、上場しても問題ないと思います。小さな株主が増えれば増えるほど、買収のリスクも小さくなりますし・・・。

 現在のプロ野球に求める一番の事は、一日も早くサッカーのシステムの良いところを取って、機構の改革を行ってほしい事ですね。後、メディア企業は球団経営を止め、機構をバックアップする形で関わってほしいと思っています。
by chankin1 | 2005-10-14 03:55 | Sport

ほとんど毎日、明治のミルクチョコレートを食べていますw


by ちゃんきん